第191章 信用度が底をつく

藤田深志が秋山泰成からの電話を受けた時、ちょうど外出しようとしていた。この数日間、かなりの仕事を後回しにしていた。

「社長、申し訳ありませんが、来ていただけませんか。奈緒の状態があまり良くないんです。」

藤田深志は服を持つ手を止め、無意識のうちにリビングで花の世話をしている鈴木之恵を見た。

「どうしたんだ？」

「奈緒がまた自殺を図ろうとしました。病院の屋上まで行って、片足を乗り出していたんです。もう少しで命を落とすところでした。今は制止されていますが、早く来てやってください。この母子に会えなくなる日がいつ来るか分かりません。」

電話で秋山泰成は事態を極めて深刻に伝え、声も泣きそうになっていた。

藤田深志は表情を引き締めて、

「すぐに行く。」

鈴木之恵は彼の口調から、この電話が秋山奈緒に何か起きたことを知った。秋山家の人々は何か噂を聞いたに違いない。彼らは彼女を安らかにはさせないだろう。

彼女は立ち上がって藤田深志を見つめ、直接尋ねた。

「今夜は帰ってくる？」

藤田深志は左手に時計をはめながら、靴を履き替えていた。考えもせずに答えた。

「帰る。」

鈴木之恵はふん、と笑った。

「何時でも待ってるわ。」

彼女は考えていた。彼が自分で帰ると言ったのだから、待とう。もし約束を破るなら、二度とこの家に入れないようにしよう。人生には一度は真剣に向き合わなければならない時がある。他人に寛容すぎると、底なしだと思われてしまう。

藤田深志は家を出て直接病院へ向かった。秋山奈緒はぼんやりとベッドに横たわっていたが、藤田深志が入ってくるのを見ると、光を見つけたかのように、目を輝かせた。

「深志さん、やっと会いに来てくれたのね。晴香があなたが結婚したって言ってたけど、私信じないわ。私と結婚すると約束してくれたでしょう？ペアリングを選んだの、見てみて。あなたの好みにぴったりよ。」

秋山奈緒は携帯の写真を藤田深志に見せながら、甘えた声で話しかけ、19歳の頃のような口調で会話を交わし、言葉の端々に結婚を迫っていた。

藤田深志は極めて不快な表情を浮かべ、ベッドの端に座ったまま一言も発しなかった。

秋山奈緒はさらに尋ねた。