第212章 赤ちゃんのお食い初め

藤田深志は声を聞いて大股で近づいてきた。古田さんは今、布団の中にある身長150センチのぬいぐるみを見て、豚の肝臓のように不愉快な表情を浮かべていた。

藤田くんは彼女に人を見張るように言ったのに、また一度人を見失ってしまった。

藤田深志は空っぽのベッドを見て、眉間にしわを寄せた。

古田さんは自分が失態を犯したことを知り、泣きそうになった。前回、秋山奈緒が抜け出して一晩中姿を消した後、藤田くんは何度も強調して、必ず人を見張り、一歩も離れず、階下に降りることも、部外者が部屋に入ることも許さないと言っていた。

彼女は目に涙を浮かべながら、おずおずと言った。

「社長、秋山さんは夜中までここにいました。お腹が痛いと言って水を持ってきてほしいと頼まれて、目を離した瞬間にいなくなってしまったんです。社長、私が逃がしたわけではありません。前回ご注意いただいてから気をつけていて、寝る時も警戒していましたが、ドアの音も聞こえませんでした。」

彼女がこの話を持ち出さなければよかったのに。話がここまで来た以上、藤田深志は清算しなければならなかった。

「前回、秋山奈緒が午後いなくなった時、彼女は墓地に行って私の義母の墓を掘り返した。私は彼女が外出したかどうか尋ねたとき、あなたは胸を張って否定した。私は彼女を一人にしないように注意したのに、あなたは彼女を一人で階下で魚に餌をやらせて、大事故になりかけた。今回またしても彼女を見失った。

古田さん、あなたが藤田家で十数年働いてきたことを考慮して、過去のことは不問に付しましたが、三度目はありません。荷物をまとめて出て行きなさい。藤田家の給料はそう簡単には稼げないのです。」

古田さんは即座に泣き出した。

「藤田くん、申し訳ありません。私を解雇しないでください。家には寝たきりの夫と、仕事のない息子がいます。この仕事を失うわけにはいきません。これが家族唯一の収入なんです。」

「どんな仕事にも責任が伴います。その責任を果たせないのなら、その給料をもらう資格もありません。私は際限なく寛容な人間ではありません。これ以上言いにくいことを言わせないでください。」

藤田深志は朝から不運に見舞われ、機嫌が最悪だった。

あの女は、また彼の目の前から逃げ出したのだ!

東京都。