藤田深志は一線の医師からの返事を聞いて、心臓が震えそうになった。
「松本お爺さん、どうか彼女を助けてください!」
電話の向こうでため息が漏れた。
「医は仁術、私たちも今すぐ目を覚ましてほしいのだが、あの娘は頭を怪我しているから、助かったとしても植物人間になる可能性が高い。心の準備をしておいた方がいい。」
藤田深志は深く息を吸い込んだ。
「松本お爺さん、誰があなたたちを呼んだのですか?」
向こう側が数秒沈黙した。
「お前の仕業じゃないのか?京都府で手を回せる人間といえば、お前以外にいないだろう?」
「松本お爺さん、本当に私ではありません。私も今、病院の外で近づけないようにされています。」
話している間に、受話器から看護師の焦った叫び声が聞こえてきた。
「松本先生、松本先生、患者の容態が変化しました!急いで!急いで!」