陸田直木は綺麗に包装されたかすみ草の花束を持って入り口に立ち、自分の頼りない妹を見て一瞬戸惑い、その後やや嫌そうな口調で尋ねた。
「なんでここにいるんだ?」
陸田詩子は、この役立たずの兄を頭からつま先まで見渡した。花を買ってくるなんて、母の誕生日にも一度も見たことがない。
「鈴木お姉さんと用事があって来たの。あなたに報告する必要なんてないでしょう?」
陸田直木は眉を上げ、二人の女性の間で視線を巡らせ、心の中で思った。きっとこの厚かましい奴が一方的に親しくなろうとしているんだろう。
「誰が君の鈴木お姉さんだ?勝手な思い込みはやめろ」
陸田詩子は鼻を鳴らし、小声でつぶやいた。
「あなたに能力がないから、私が鈴木お姉さんと呼ぶしかないじゃない」
陸田直木は目を見開いて警告し、陸田詩子は怖くなって口を閉じた。