「彼はどこにいるんだ?」
中村慎は「偶然にも京都府だ。地図は科学館を指している」と答えた。
藤田深志は両手を握りしめ、
「この地図をずっと見ていられるのか?」
中村慎は頷いて、
「システムを閉じない限り、このページをずっと見ていられる。相手の動きをリアルタイムで追跡できる」と言った。
藤田深志は心に決めたようで、中村慎からパソコンを受け取り、
「邪魔して申し訳ない、兄弟」
彼はパソコンを抱えて車に戻り、科学館に向かって車を走らせ、途中で何本か電話をかけた。約20分ほどで科学館に到着すると、柏木正がボディーガード数人を連れて既に到着し、入り口で待っていた。
「藤田社長、その人は本当に科学館にいるんですか?」
柏木正は好奇心に満ちた表情でそのパソコンを見つめ、画面上の赤い点は科学館内に正確に位置していた。
藤田深志は「中村社長が調べてくれた。間違いない。チケットを買って捕まえに行くぞ!」
柏木正は数を数え、ボディーガードを含めて7人いた。彼は7枚のチケットを買い、藤田深志は7人を率いてパソコンを持って科学館に入った。
その時、鈴木弘文はトイレに行くと言い訳して叔父から逃れ、藤田のクズの様子を監視しようとしたが、システムを開くと目が凍りついた。腕時計型携帯の小さな画面で、藤田深志の矢印が自分の方向に近づいてきていたのだ。彼は慌てて腕時計型携帯の電源を切った。
鈴木由典は鈴木弘美の手を引いてトイレの外で待っていた。一群の人々が威圧的に通り過ぎ、また戻ってきて、トイレの前の通路を何周も徘徊している様子を見た。誰かを探しているようだった。
先頭の人物を見た時、彼の心臓が締め付けられた。科学館を訪れただけなのに、この藤田のクズに出会うとは、一体どんな不思議な縁だろうか?
本当に気分が悪くなる。
彼は鈴木弘美を抱き上げてトイレの入り口で鈴木弘文を呼んだ。今日は楽しめそうにない。早く子供たちをここから連れ出さなければならない。あのクズと子供たちが出会わないように。
鈴木弘文は手を洗い、本当にトイレに行っていたかのように装って出てきた。鈴木由典の表情が少し緊張しているのを見て、
「叔父さん、どうしたの?」
「弘文、弘美、叔父さんに急な用事ができたんだ。今日はここまでにしよう。次は思う存分遊ばせてあげるから」