柏木正は社長がタバコを吸いたがっているのを見て、秋山泰成の背中を蹴って叱りつけた。
「藤田社長が先ほど聞いたことが聞こえなかったのか?お前がハッカーなのか?」
これには秋山泰成も困惑した。彼のような半分片足を棺桶に入れているような老人がそんなことができるはずがない。会社の文書を作るのにも秘書の助けを借りなければならないのだ。
秋山泰成は震えながら答えた。
「藤田社長、私はハッカーではありません!」
藤田深志は足の指で考えても彼ではないと分かっていた。この老いぼれの頭の中身がどれほどのものか分かっている。ビジネスでは機会主義的なところはあるが、まともな仕事となるとまだまだ遠い。
藤田深志:「家に他に誰かいるのか?」
秋山泰成は目をさまよわせ、自信なさげに答えた。
「い、いいえ、誰もいません。私一人です。」
藤田深志は煙の輪を吐き出しながら、目配せで数人のボディガードに捜索するよう指示した。
五人の屈強な男たちはすぐに意図を理解し、家の各所に散って捜索を始めた。こちらではまだ誰も見つからなかったが、二階の寝室から物が落ちる音が聞こえてきた。
柏木正が先頭に立って上がっていくと、寝室の入り口で目にした光景に驚愕した。
二人の若い女性が慌てふためいて服を着ていた。床には破れた女性用下着や使用済みの玩具、使用済みの包装袋、精力剤などが散乱していた。
これは柏木正のその老人に対する印象を一新させた。もう半分死にかけているはずなのに?
なんてこった、こんな派手なプレイをして死にそうにもならないのか。階段を上がるだけで息を切らす老人が一度に二人の若い女性と、柏木正は呆然とした。
二人の女性は服もまだ着終わっておらず、布団で体を隠していた。様子を見るとかなり怯えているようだった。
柏木正にはこの二人の女性とハッカーを結びつけることができなかった。
彼らが来たとき、明らかに秋山泰成はこの二人の女性と言い表せないことをしていて、藤田グループのシステムをハッキングする余裕などなかったはずだ。確実に彼女たちではない。
では、彼らが探しているFは一体どこにいるのか?
柏木正は五人の男たちを連れて階下に戻った。
「藤田社長、いませんでした。」
藤田深志は信じなかった。彼は中村慎の技術を信頼していた。そして地図が示す位置はまさにこのヴィラの中だった。