柏木正は社長がタバコを吸いたがっているのを見て、秋山泰成の背中を蹴って叱りつけた。
「藤田社長が先ほど聞いたことが聞こえなかったのか?お前がハッカーなのか?」
これには秋山泰成も困惑した。彼のような半分片足を棺桶に入れているような老人がそんなことができるはずがない。会社の文書を作るのにも秘書の助けを借りなければならないのだ。
秋山泰成は震えながら答えた。
「藤田社長、私はハッカーではありません!」
藤田深志は足の指で考えても彼ではないと分かっていた。この老いぼれの頭の中身がどれほどのものか分かっている。ビジネスでは機会主義的なところはあるが、まともな仕事となるとまだまだ遠い。
藤田深志:「家に他に誰かいるのか?」
秋山泰成は目をさまよわせ、自信なさげに答えた。
「い、いいえ、誰もいません。私一人です。」