藤田深志の電話が鳴り、柏木正からだった。
「藤田社長、銘瑞黄金の社長が今晩一緒に食事をしたいそうです。私たちと協力したいとのことです。」
藤田グループはジュエリービジネスを展開していたが、金の分野には手を出していなかった。普段なら考慮することもなかったが、今は鈴木之恵が東京都にいるため、この地域でビジネスを展開する必要があると感じていた。
彼はすぐに承諾した。
藤田深志は車を戻し、スーツに着替えた。
ブルーパレスホテル。
銘瑞黄金の社長季山信明は秘書と柏木正と共に、すでに下で出迎えを待っていた。藤田深志の車が到着し、駐車係に鍵を投げた。
一行はホテルに入り、エレベーターに乗った。
「藤田社長、以前からご協力をお願いしたかったんです。ようやく東京都にいらっしゃって、今回はゆっくりお話ができますね。」