八木真菜と鈴木之恵は手を繋いで階段を上がっていき、まるで仲の良い小学生のように、どこへ行くにも一緒だった。
三人はダイニングに座り、テーブルの上の火鍋からはぶくぶくと泡が立ち上がり、エアコンを18度に設定しても止まらない湯気が立ち上っていた。
主に三人とも興奮した様子だった。
4年ぶりの再会で、三人とも胸に秘めた話が山ほどあった。
湯気の中で三つのグラスが触れ合い、鈴木之恵はグラスの酒を少し啜りながら、ゆっくりと話し始めた。
「みんな、この4年間私は東京都にいて、祖母と叔父の家族と一緒に暮らしていたの。まあまあ良い生活を送っていたわ。心配かけてごめんね。連絡を取らなかったのは藤田深志から逃げるためで、私がまだ生きていることを知られるのが怖かったの。今は彼が私を見つけたから、もう隠れる必要はないわ。これからは堂々と誰とでも連絡を取れるようになったわ。」
八木修二はグラスをきつく握りしめ、
「藤田のクズが見つけたのか?之恵、言っておくけど、あいつが何を言おうと何をしようと許すなよ。あいつは君が受けた全てを償えないんだ。」
鈴木之恵の目は霞んで、淡々と言った。
「許すつもりなんてないわ。」
八木真菜は鈴木之恵の産婦人科医だったため、赤ちゃんのことが気になっていた。事故の時には不安定期の3ヶ月を過ぎており、胎児もある程度大きくなっていた。
あれほどの大きな事故だったので、最悪の事態を心配していた。事故はニュースになり、テレビで放送された事故現場の映像は見るに耐えなかった。
彼女はためらいながら、やっと口を開いた。
「之恵、お腹の赤ちゃんはどうなったの?」
二人の賢い子供たちのことを思い出し、鈴木之恵は幸せそうな表情を浮かべた。
「あの二人の元気な子たちね、もう4歳よ。男の子と女の子。機会があったら会わせてあげるわ。」
八木真菜は興奮して口を押さえ、目に涙を浮かべた。
「よかった、之恵。」
鈴木之恵は携帯の写真フォルダーを開き、八木真菜に写真を見せた。フォルダーにはジュエリーの写真以外、全て二人の子供たちの写真だった。
「子供たちのことは、藤田深志はまだ知らないの。秘密にしておいてね。」