第281章 ドッグフード

動画の中で、藤田深志は憔悴しきっており、服は泥だらけだった。顎には無精ひげが生え、目は虚ろで生気がなかった。

まるで魂を抜かれたかのように彼女の墓の前に跪き、口では絶え間なく呟いていた。

「之恵、私が遅すぎた...」

鈴木之恵は、そんな藤田深志を見たことがなかった。彼は潔癖症で、服に少しでも汚れがつくことを許せない人だった。しかし動画の中の彼は、まるで何もかもどうでもよくなったかのように見え、当時の彼にとって天が崩れ落ちたような状態だったことが伝わってきた。

鈴木之恵は一時停止ボタンを押した。これ以上の内容は見られなかった。

彼女の心は混乱していた。一体どちらが本当の彼なのかわからなかった。

かつて彼女を使い古しの草履のように捨てた男が、彼女の死を知って墓前で生きる気力を失うほど悲しみ、数日前には彼女の前で告白し、その直後に他の女性からの誘いを受け入れる。