第281章 ドッグフード

動画の中で、藤田深志は憔悴しきっており、服は泥だらけだった。顎には無精ひげが生え、目は虚ろで生気がなかった。

まるで魂を抜かれたかのように彼女の墓の前に跪き、口では絶え間なく呟いていた。

「之恵、私が遅すぎた...」

鈴木之恵は、そんな藤田深志を見たことがなかった。彼は潔癖症で、服に少しでも汚れがつくことを許せない人だった。しかし動画の中の彼は、まるで何もかもどうでもよくなったかのように見え、当時の彼にとって天が崩れ落ちたような状態だったことが伝わってきた。

鈴木之恵は一時停止ボタンを押した。これ以上の内容は見られなかった。

彼女の心は混乱していた。一体どちらが本当の彼なのかわからなかった。

かつて彼女を使い古しの草履のように捨てた男が、彼女の死を知って墓前で生きる気力を失うほど悲しみ、数日前には彼女の前で告白し、その直後に他の女性からの誘いを受け入れる。

鈴木之恵は苦笑いを浮かべながら、過去を掘り返して何になるのか、前を向いて進むべきではないのかと思った。

村上拓哉は話したい欲求に駆られ、しゃべり続けた。

「お前が居なくなった後、俺たち友人は皆、彼と絶交したんだ。後で、本当に生きていけそうにないのを見て、俺たちも説得に行った。八木修二も行ったんだ。彼に聞いてみろよ。」

八木修二は何も言わず、ただ頷いた。

「俺が藤田深志を知って何年になるか、彼がどれだけプライドの高い人間か、お前も知ってるだろう。あの時のお前の死の知らせは、本当に彼を打ちのめしたんだ。あの半年間、藤田グループ全体が危機に陥りかけたんだぞ。」

八木修二は聞いていられなくなった。

「もういいだろう、楽しい話でもしようよ。藤田のクズはここ数年確かに苦しんだけど、俺たちの之恵はもっと深い傷を負ったんだ。命を落としかけたんだぞ。あのクズが死に花を甘やかさなければ、こんなことにはならなかった。全部自業自得だ!」

秋山奈緒の話が出て、村上拓哉は別のことを思い出した。

「之恵、お前は知らないだろう。お前が去った後、藤田深志は自ら白い花に堕胎薬を飲ませたんだ。当時お前を傷つけた連中は、一人残らず彼が片付けた。」