鈴木之恵と小川淳は遊園地で午後を過ごし、夕食時間が近づいた頃、八木修二から時装ショーに誘う電話がかかってきた。このショーには八木修二の作品展示があり、彼女の今回の京都府への帰省はちょうどタイミングが合っていたので、必ず応援に行かなければならなかった。
「小川社長、私はこの後友人と約束があるので、もう付き合えません。お酒を飲みたいなら二環に向かってください。そこにはバー街があります。」
小川淳は鼻をこすりながら、心の中で思った。良心のない奴だ。この午後、結局誰が誰に付き合ったというのか?
「じゃあ、いいよ。君に借りている食事は今度返してもらうからね。私はまだ京順堂の菓子も、大江戸食堂の北京ダックも食べたことがないし、ドラマでよく出てくる昔ながらの胡同も一緒に歩いてもらわないとね。」
小川淳が一気にこれだけの長い話を言い出したので、鈴木之恵は本当に彼が京都府に初めて来たのかどうか疑わざるを得なかった。午後、彼は車を運転してこのショッピングモールに直接向かってきたが、ナビも使わず地図も確認していなかった。
「小川社長、なぜか私より京都府に詳しいような気がするんですが?」
小川淳は口元を歪めて話題をそらした。
「友達はどこにいるの?車で送っていこうか。」
「結構です。友達が迎えに来てくれると言っているので、お忙しいでしょう。」
話している途中、八木修二からまた電話がかかってきた。
「之恵、着いたよ。もう出てきていいよ。」
鈴木之恵は電話を切り、急いだ様子で、
「小川社長、友達が来たので失礼します。」
小川淳は一人では特に楽しむこともないので、後を追って外に出ると、鈴木之恵がメタリックブルーのクーペに乗り込むのを見て、排気ガスを顔に浴びせられた。
小川淳:「……」
なぜかちょっとemoになってしまった。
鈴木之恵は車に乗り込んで、居心地が悪く感じた。八木修二の他に、八木修二の'親友'村上拓哉も迎えに来ているとは全く予想していなかった。
今、運転しているのは村上拓哉だった。
彼女が京都府を離れた四年間、この二人の関係はかなり良好になったようだ。
「村上若様、私たちはどこへ行くんですか?」