動画はすぐに終わった。
藤田深志は動画を閉じてメッセージを更新したが、後ろに何も新しいものが見つからず、がっかりした。
「なんで終わりなの?一つしか撮ってないの?」
柏木正は申し訳なさそうに言った。
「社長、これは盗撮なんです。奥様には内緒にしてください。知られたら怒られちゃいます。」
藤田深志は眉を上げて不満げに言った。
「たった十数秒で、横顔だけ。正面顔が一枚も撮れてない!」
柏木正は心の中で思った。知っていれば撮らなかった。奥様に叱られるリスクを冒して坊ちゃんの動画を撮って見せたのに、今度は社長に叱られる。何のためだろう?
「社長、焦らないでください。息子さんは自分の子供なんですから、逃げることはないでしょう?何度か来れば、坊ちゃんに会えます。奥様の怒りが収まれば、四人家族で再会できますよ。」