鈴木弘美はトラの形をしたまんじゅうを一つ取って一口かじると、美味しいと感じ、目の前の料理も口に合った。
「ママ、これは京都府にいた時に好きだった料理?」
鈴木之恵が答える前に、藤田深志は取り箸でコーラ煮の手羽先を鈴木弘美の茶碗に入れ、鈴木之恵の代わりに答えた。
「このテーブルの料理は全部ママが昔好きだったものだよ。あのおばあさんの腕前でね。ママは昔、あのおばあさんの料理しか食べたがらなかったんだ。あのおばあさんが特別に習ったんだよ。」
鈴木之恵は少し気まずくなった。これじゃ子供の前で彼女の短所を暴露して、好き嫌いが多いと言っているようなものじゃないか!普段は二人の子供に好き嫌いをしないように教育していて、好き嫌いをすると背が伸びないと言っているのに、今なんだか自分の言葉が返ってきたような気分だった。