第334章 対面の贈り物

弘美は藤田深志の胸に寄り添いながら、この出迎えの部屋を観察した。まるでアナと雪の女王の童話の世界に入り込んだようだった。

前回叔父さんと来た時は、こんなに綺麗ではなかったことを覚えている。

鈴木弘美は目を細めて笑いながら、

「ママ、京都府は綺麗だね。東京都より綺麗。私たち、京都府に住まない?」

子供の心は単純で、好きなものがあれば直接言う。大人のように色々なことを考えたりはしない。

藤田深志の傷ついた表情を一瞥して、鈴木之恵は弘美の耳元で静かに言った。

「弘美、これは全部パパが飾り付けたの。気に入ったなら、私たちの家もこんな風にできるわよ。」

鈴木弘美は振り返って、この見知らぬパパをもう一度見つめ、鈴木之恵の耳元で小声で尋ねた。

「ママ、パパは私たちと一緒に住むの?」

彼女はまだこのパパを受け入れるかどうか決めていなかった。まだ試していないし、外見は合格だけど、他の面については、お兄ちゃんと相談してから決めなければならない。

鈴木弘美の声は小さかったが、藤田深志は彼女たちに注目しすぎて全て聞こえてしまった。彼の目が揺れ、次の瞬間、鈴木之恵が弘美を慰める声が聞こえた。

「パパは今、私たちとは別々に住んでいるけど、パパもママも弘美とお兄ちゃんのことを愛しているわ。」

鈴木弘美はママの答えを聞いてほっとした。このパパが審査に合格する前に、ママの家に住んでほしくなかった。ママをいじめるかもしれないから。

鈴木弘美の心配が消えると、至る所にあるエルサに魅了された。鈴木之恵の腕から降りて、あちこち見回り、まるで展示会を見ているようだった。

ホールの人々は少なくなり、鈴木弘美はあちこち駆け回って、これを見たりあれを見たりして、なかなか帰りたがらなかった。

鈴木之恵は横にいる人を見やり、慰めるような目つきをした。子供の前では言えない言葉もある。突然パパが現れるなんて、大人でも時間をかけて消化する必要がある。まして5歳にも満たない子供なら尚更だ。

彼女のこの眼差しを藤田深志は理解した。悲しくても、道理は分かっていた。失われた4年は一朝一夕には取り戻せない。彼は鈴木之恵に笑顔で応えた。

自分では気づいていなかったが、その笑顔は泣き顔よりも辛そうだった。

藤田深志は先ほど抱いていたエルサのぬいぐるみを展示台に置き、今また抱き上げた。