警察は十五分間の面会時間しか与えなかった。鈴木之恵は彼とガラス越しに長い間見つめ合い、ようやく受話器を耳に当てた。
秋山泰成は涙が止まらず、しばらくして落ち着きを取り戻した。
今回、鈴木之恵が雇った弁護士が、彼の公金横領の証拠を警察に提出した。数年で出所できるはずだった秋山泰成は、巨額の経済事件に巻き込まれ、刑期は終身となった。
鈴木之恵は冷ややかな目で彼を見つめた。彼女はこのような秋山泰成を見たことがなかった。老いて濁った目には、限りない後悔の色が浮かんでいた。
結局、秋山泰成が先に口を開いた。
「之恵、お父さんはもう一生出られないかもしれない。姉妹二人で助け合って生きていくんだよ。お前たちはお互いにとって唯一の肉親なんだから。」
鈴木之恵は冷笑した。彼は今この状況になっても、最も気がかりなのは秋山奈緒のことだった。
「お父さん。」
鈴木之恵は苦しそうに口を開いた。
「これが最後にお父さんと呼ぶことになるかもしれない。もうすぐ東京都に戻るわ。言い忘れていたけど、私には今、たくさんの家族がいるの。おばあちゃんも叔父さんも私をとても可愛がってくれる。あなたが言う姉妹のことだけど…」
鈴木之恵は小さく笑い、その笑みは目には届かなかった。
「秋山奈緒は悪事を重ねてきた。警察が面倒を見てくれるでしょう。私が関わる必要はないわ。」
秋山泰成はドキッとした。明らかに鈴木之恵の言葉に驚いた様子で、それでもなお諦めきれずに尋ねた。
「之恵、今の言葉はどういう意味だ?」
「あなたが考えているとおりよ。人は自分のした行為に責任を取らなければならない。安心して、警察は善人を冤罪に陥れたりしないわ。」
秋山泰成は次の瞬間、両目を閉じた。二筋の涙が頬を伝って流れ落ちた。
「之恵、お父さんは本当にごめん。」
「一番謝らなければいけないのは、私のお母さんよ。」
鈴木之恵はそう言って続けた。
「あなたが欲しがっていた写真はバッグの中に入れておいたわ。あなたとジョナランの結婚写真よ。二人とも地獄で永遠に夫婦でいればいい。」
鈴木之恵は言い終わると、バッグから鈴木美波と秋山泰成の写真を取り出し、彼の目の前でハサミを使って彼の部分を切り取り、鈴木美波だけを残した。
「お母さんの写真を持つ資格なんてないわ。もう気持ち悪がらせないで。」