藤田深志はこの大きな問題を早急に解決する必要があると感じていた。
諺にもあるように、泥棒に盗まれるのは怖くないが、泥棒に目をつけられるのが怖い。藤田晋司は目をつけて盗もうとしているのだ。
藤田晋司は35歳になっても、結婚の予定がない。藤田深志は家族として、祖父に彼の警鐘を鳴らす必要があった。
パソコンを開くと、陶山蓮華が以前送ってきた令嬢リストが目に入り、すかさず祖父に転送した。自分に小母さんを見つける時が来たのだ。
祖父にメッセージを送り終えると、海外からのメールが届いた。
開いてメールの写真を見た瞬間、タッチパッドに置いていた手が凍り、全身が固まった。
先日、藤田晋司の海外での年月について調査を依頼していたが、メールには彼とある女性の写真が満載で、二人は親密な様子で、とても仲が良さそうに見えた。藤田晋司がその女性を見る目には、これまで見たことのない深い愛情が溢れていた。
そしてその女性は鈴木之恵とそっくりな顔立ちを持ち、体型も、雰囲気も、しぐさの一つ一つまでが鈴木之恵と瓜二つだった。
藤田深志は全身が冷たくなり、この事態が理解できず、頭の中が混乱していた。
彼は鈴木之恵と知り合ってからの日々を振り返った。
初めて会ったのは祖父の強要によるもので、当時の鈴木之恵は身寄りを失い、この世に一人きりで、家族を求めていた。
藤田家に嫁いでからは藤田晋司と接触する機会はなかったはずだし、嫁ぐ前は京都府で大学に通っていたので、長期間海外で生活することもあり得なかった。
最も重要なのは、鈴木之恵は自分に嘘をつくはずがないということだ。
彼はメールの内容を注意深く読んだ。
【親愛なる藤田様、ご依頼の藤田晋司氏の10年以内の資料はほぼここにまとめてあります。写真は選んで入れましたので、ご覧ください。彼はフランスでburryという米国籍の華人女性と結婚し、二人はとても仲が良かったようです。不幸なことに、7年前にネパールで旅行中に雪崩に遭遇し、藤田晋司氏は幸運にも生還しましたが、彼の妻は不運にも亡くなりました。
藤田晋司氏はその後3年間ずっとネパールに留まり、その山脈を見つめながら、毎日苦しみの中で過ごしていました。その後、何らかの理由で突然帰国を決意したようです。】
藤田深志はメールを見ながら、恐ろしい考えが浮かんだ。