第359章 醋っぽい深

柏木正は興奮して、今日の計画をすべて打ち明けた。

「藤田社長、仕事が終わったら、まず妻とショッピングに行って、西洋料理を食べて、映画を見て、夜はラブホテルを予約しているんです。」

ここまで話して、柏木正は少し照れくさそうだった。

藤田深志は表情を変え、キーワードの「ラブホテル」を聞いて!!

村上拓哉の家系列にもそういった施設があったことを思い出したが、高級路線で、一般人には手が届かない。今度機会があれば聞いてみようと思った。

藤田深志は腕時計を見た。退社時間まであと2時間あり、柏木正に用事もなかったので、

「今から帰っていいよ。」

柏木正は驚いた。こんなに早く帰れたのは2年前以来だった。

「藤田社長、じゃあ今帰ってもいいですか?」

柏木正は恐る恐る尋ね、上司が頷くのを見ると、まるで風火輪に乗ったかのように逃げ出した。次の瞬間に呼び戻されるのを恐れているかのように。

柏木正が去ると、藤田深志は二人の子供たちを呼び寄せ、車のキーを振りながら、

「パパは今から仕事終わりだけど、二人は遊びに行きたいところとか、行きたい場所ある?」

藤田深志は子供たちを連れて出かける準備をしていたが、二人の子供は全く顔色を良くせず、

鈴木弘文は「ママに会いに行きたいだけ。」

鈴木弘美は「ママがいないなら、どこにも行きたくない。」

藤田深志は苦笑いして、

「もちろんママも一緒だよ。ただ先に二人の意見を聞いただけ。三人で、少数は多数に従うってことで、いい?」

この家で、彼は自分を透明人間のように扱い、サービスを提供するだけで、意見を言う資格もないと思っていた。

二人の子供は彼の言葉を聞いて、態度が和らぎ、幼い声で口を揃えて、

「ママの言うことを聞く。」

そうか、最終的な選択権は鈴木之恵に委ねられることになった。

藤田深志は社長椅子から立ち上がり、

「じゃあ、ママに会いに行こうか。」

「やった!」

彼は両手に一人ずつ子供を引き連れ、社員たちの視線を浴びながら階下へ向かい、ロビーでロボットが立っているのを見た。藤田深志は近くの警備員に指示した、

「このロボットを私の車に積んで!」

鈴木弘文の小さな足取りが急に軽くなり、歩く度にピョンピョン跳ねていた。藤田深志は目の端で盗み見て、口角に笑みを浮かべながら、子供たちと共に上機嫌で車に乗り込んだ。