村上お爺様は藤田深志を一瞥し、その後ろにいる女性と二人の可愛らしい子供たちを見て、心の中で酸っぱい思いが込み上げてきた。
やはり藤田さんは福がある、孫を抱く運命は自分にはなかった。
村上お爺様は藤田深志の手をしっかりと握り、濁った目で心配する父親のような表情を浮かべた。
「深志、若い者同士の方が話が通じやすいだろう。叔父さんに代わって説得してくれないか。」
藤田深志はこの件が変わることはないと知っていた。ただ徐々に受け入れていくしかない。しかしこの時、村上お爺様の力なさそうな様子を見て、断る言葉が出てこなかった。
「村上叔父さん、焦らないでください。」
この事は急いでもどうにもならない。
「ああ、君たちで話してくれ。」
村上お爺様は言い終わると立ち上がり、秘書と共に個室を出て行った。