第361章 高慢

村上お爺様は藤田深志を一瞥し、その後ろにいる女性と二人の可愛らしい子供たちを見て、心の中で酸っぱい思いが込み上げてきた。

やはり藤田さんは福がある、孫を抱く運命は自分にはなかった。

村上お爺様は藤田深志の手をしっかりと握り、濁った目で心配する父親のような表情を浮かべた。

「深志、若い者同士の方が話が通じやすいだろう。叔父さんに代わって説得してくれないか。」

藤田深志はこの件が変わることはないと知っていた。ただ徐々に受け入れていくしかない。しかしこの時、村上お爺様の力なさそうな様子を見て、断る言葉が出てこなかった。

「村上叔父さん、焦らないでください。」

この事は急いでもどうにもならない。

「ああ、君たちで話してくれ。」

村上お爺様は言い終わると立ち上がり、秘書と共に個室を出て行った。

父親が出て行くと、村上拓哉は泣き叫び始め、不満げに言った。

「早く縄を解いてくれ、足が動かなくなってきた。」

藤田深志は彼の縄を解きに行ったが、動作はゆっくりとしていて、村上拓哉の叫び声も気にせず、軽く揶揄った。

「控えめにしろと言ったのに、いきなり同棲とは、現行犯で捕まったな?」

村上拓哉は既に頭に来ていたのに、この損な友人は一言の慰めもなく、いきなり面白がってくる始末。これでも友達でいられるのか?

「俺のことを言うな。お前だって之恵にどれだけ尻尾を振ってるか自覚してないだろ?お前だって之恵と同棲してるじゃないか?」

藤田深志は言葉に詰まり、手の動きが乱暴になり、村上拓哉は痛みで悲鳴を上げた。

傍らでずっと静かに見ていた鈴木弘文は鈴木之恵の指を握りながら、小声で尋ねた。

「ママ、パパのお友達は何か悪いことをして、お父さんに叩かれたの?」

鈴木之恵はこの件をうまく説明できなかった。二人の子供たちへの性教育については、まだ始めていなかったし、今これを説明しても、小さな子供たちに理解できるかどうか分からなかった。

彼女が何か答える前に、鈴木弘文は再び尋ねた。

「パパも先程のおじいちゃんみたいに怖くなるの?」

鈴木之恵は息子の方を見下ろし、やっと彼の小さな頭の中で何を心配しているのか理解した。

「弘文、パパはそんなことしないわ。」