第376章 子に頼る父の価値

藤田深志は今村執事に電話をかけ、簡単に状況を尋ねたが、子供たちを連れて行くことについては触れなかった。

以前、彼は病院でお爺さんを怒らせることが多く、後にお爺さんは彼の病院訪問を禁止し、彼を見ると具合が悪くなると言った。藤田深志は毎回病院に行っても姿を見せることができず、廊下で密かに様子を伺い、医師と病状について話すだけだった。

今回は、お爺さんの前で顔が立つと思った。子を持つ親の威光というものは、お爺さんの所では絶対に通用するはずだ。

車は病院に停まった。

藤田深志はドアを開けて二人の子供を抱き下ろし、手を繋ごうとした。鈴木弘美は比較的協力的で、おとなしくパパと手を繋いだ。鈴木弘文は手を繋がせず、鈴木之恵の方に走って行き、最終的にパパとママがそれぞれ一人ずつ手を繋いで入院棟へ向かった。