第384章 可哀そうなふり

天から降り注ぐようなキスが落ちてきて、鈴木之恵はまだ呆然としていた。

藤田深志の大きな手が彼女の服の裾から滑り込み、その柔らかな場所を探ろうとしたが、彼女の下腹部で止まった。

彼は上体を起こして彼女のネグリジェをめくり上げ、その滑らかな肌に一筋の恐ろしい傷跡を見つけた。

この位置に残る傷跡は、明らかに出産時についたものだった。彼女が二人の子供を産んだ時の苦しみについては、前回鈴木由典が車の中で話していた。

その傷跡を目の当たりにした時、彼の心は痛みで締め付けられた。

そんな大切な瞬間に、彼は彼女の側にいなかった。結局、多くのことを見逃してしまったのだ。

「之恵、痛かったでしょう?」

鈴木之恵は天井を見つめながら、4年前のことを思い出し、淡々とした口調で言った。

「その時は痛みを感じなかったの。医師に胎位が悪いと言われて、羊水もたくさん流れていて、その時は早く二人の赤ちゃんを産みたいだけだった。お腹の中で酸素不足になることが心配で。」

彼女は出産時、確かに痛みで意識が朦朧としていた。医師に歩くように言われた時になって、初めてその地獄のような痛みを実感したのだった。

藤田深志は彼女の話を聞いて、さらに胸が痛んだ。彼女は肌を大切にする人で、しかもケロイド体質だった。痛みはさておき、その傷跡が体に残ることで、どれほど辛い思いをしているかわからない。

彼はその傷跡に身を屈めてキスをした。慰めるような、そして痛ましく思うような気持ちを込めて。

鈴木之恵は回想に浸っていたが、彼の唇が上へと移動し、彼女の敏感な部分を包み込んだ時、頭が少し冴えてきて、足で彼を蹴り飛ばした。

二人はベッドの上で大きく息を切らしていた。

鈴木之恵は寝間着を整えながら、彼をベッドに上がらせたのは油断だったと思った。

彼女は自分で育てる子供をもう一人作るつもりはなかった。キャリアが上昇期で、やるべきことが山ほどあり、とても手が回らない。お金を稼がなければならないのだ!

それに、今は彼を受け入れようと試している段階に過ぎない。

昔の感覚を取り戻そうとしているが、以前のように一人の人を心の底から愛せるかどうか、自分にも自信がなかった。

「藤田深志、これは正式な関係になる前はダメ!」

藤田深志は喉を鳴らし、頭は冷静になったものの、体の中の熱は消えなかった。

「之恵……」