鈴木之恵はキッチンの片付けを終えて、そのまま二階に上がった。アシスタントの木村悦子から連絡が入り、不満を漏らしていた。
【芽さん、いつ戻ってくるの?こちらではあなたの直接の確認が必要な書類が山積みになっていて、デザイン部の設計図もあなたの最終チェックが必要なのよ。これ以上戻ってこないと、みんなの仕事への意欲が散漫になってしまうわ。】
鈴木之恵は、この間木村悦子が間に立って仕事の調整をしてくれているものの、みんなの仕事への意欲が低下していることを知っていた。彼女が不在の間、カーマグループの仕事の進捗はかなり緩んでいた。このままズルズルと引き延ばせば、ブランドも何もあったものではない。会社が倒産しないだけでもましな方だろう。
【来週戻るわ。それまで持ちこたえて。】