第389章 世論の渦に巻き込まれる

正午の日差しが顔に当たり、藤田深志はようやく眠りから覚めた。茅野さんの催眠のおかげで、比較的安らかな眠りだった。

目を開けた瞬間、最初の反応は服を着て妻と子供たちの朝食を作ることだったが、周りの環境を見て、ここが茅野さんの家だと気づいた。昨日、鈴木之恵と二人の子供たちを見送ったのだ。

藤田深志はしばらく間を置いてから再び横になり、天井を見つめながら、母子三人が今何をしているのだろうかと考えた。この時間なら、おそらく昼食の時間だろう。

時間を確認しようとしたが、どこを探してもスマートフォンが見つからなかった。

茅野さんが物音を聞きつけてドアを開け、手には彼が探していたスマートフォンを持っていた。

「目が覚めたか？起きたなら電話に出るんだ。世界中の人があんたを探してるぞ。」

その言葉が終わるや否や、スマートフォンの画面が明るくなり、また一つの着信が入った。

藤田深志はベッドの頭に寄りかかり、茅野さんから携帯を受け取った。陶山蓮華からの電話だった。彼は陶山蓮華が何を言いたいのか予想がついていた。きっと藤田晴香のことだろう。

案の定、電話に出ると向こうからは泣き叫びと非難の声が聞こえてきた。

「晴香のことを知ってるでしょう？どうして実の妹の面倒を見ないの？警察に連れて行かれるのを見過ごして。拘留されてるのよ。警察は15日間拘留すると言ってるわ。あんな場所で人が過ごせるはずないでしょう？早く誰かに頼んで晴香を救い出して。あの子はあんな場所に耐えられないわ。」

15日間、藤田深志の予想通りだった。

「母さん、晴香はもう子供じゃないって前から言ってるでしょう。母さんがこんなに甘やかすから、いつか問題を起こすのは目に見えてた。妊婦まで殴るなんて、病院という場所で公然と人を殴る行為は本当に悪質だ。どんな理由で助け出せというんだ？」

電話の向こうで明らかに息が詰まる音がし、数秒の沈黙の後、信じられない様子で尋ねた。

「深志、その言い方はどういうこと？妹を見捨てて、あの中に放っておくつもり？」