藤田家。
お爺様が退院して二日目だが、外で起きている大騒ぎのことを知らないはずがない。
彼は黙って尋ねなかったのは、自分が選んだ後継者がこの件をどう処理するのか見守りたかったからだ。
処理の結果に満足していた。重要な局面で、藤田深志は彼を失望させなかった。企業が長く存続できるかどうかは、目先の利益だけでなく、舵取り役の本質を見極めることが重要だ。
彼は人を見る目を間違えていなかった。
藤田深志には確かに若かりし頃の自分の風格があった。
お爺様は書斎で今村執事の報告を聞いていた。
「ご主人様、若様はほぼ全て解決されました。ただ、お嬢様の方は少し辛い思いをされることになります。」
お爺様は片手で数珠を回しながら、もう片方の手で目頭のツボを揉み、しばらくしてから尋ねた。