第392章 イチゴ味それともバニラ味?

藤田深志が話し終えると、二人はまた暫く沈黙が続いた。

鈴木之恵は、この慎重な説明に対して、内心では満足していた。彼の態度のおかげで、彼女の気分はかなり良くなった。

「藤田社長の目には、私がそんなに小心者に見えるんですか?」

藤田深志は大きく息を吐いて、

「之恵、怒ってないの?」

「バカね、こういうこと、隠そうとする方が後ろめたいでしょう。正直に認めるなら、私が怒る理由なんてないわ」

藤田深志は額の汗を拭って、

「お前に会いたいよ」

突然の素直な甘え方に鈴木之恵は一瞬戸惑って、

「何を言ってるの、あなたはまだ試用期間の彼氏で、審査も通ってないわ。藤田社長はもっと頑張る必要があるわね」

藤田深志は不満げに、

「頑張るよ。三日後に東京都に飛ぶけど、何か持って来て欲しいものがあったら早めに教えて」

「私はついさっき戻ってきたばかりだから、特に要らないわ。自分の荷物をちゃんと持ってきてくれれば十分よ。物を忘れないでね、今回は荷造りを手伝えないから」

荷造りの話が出て、藤田深志は苦々しい顔をした。鈴木之恵が離れてから、出張の度に何かを忘れてしまう。どんなに注意しても、彼女ほど細かいところまで気が回らなかった。

「之恵、木下パン屋のお菓子を持って行こうか?」

鈴木之恵は額に手を当てた。彼女が京都府にいた間、体重が6キロも増えて、お腹まで出てきていた。藤田深志は家で料理を作るだけでなく、様々なスイーツを買ってきては彼女に食べさせていた。

「やめておきましょう...油脂が多くて太りやすいから」

藤田深志は彼女の口調から食べたがっているのが分かり、唇を曲げて答えた。

「分かった、じゃあ少しだけ買っていくよ」

鈴木之恵:「...」

日本語が通じないのかしら?

「昨日はどうして電話してくれなかったの?」

突然の話題転換に藤田深志はまた言葉に詰まった。病院を出た後、気分が優れなかったので心理カウンセリングに行き、その後茅野さんに勧められて眠ってしまい、起きたら気分は良くなっていた。

彼は彼女に隠し事をする気はなく、率直に言った。

「之恵、昨日病院を出た後、心理医のところに行ったんだ」

鈴木之恵の心が締め付けられた。

「また吐いたの?」