藤田深志が話し終えると、二人はまた暫く沈黙が続いた。
鈴木之恵は、この慎重な説明に対して、内心では満足していた。彼の態度のおかげで、彼女の気分はかなり良くなった。
「藤田社長の目には、私がそんなに小心者に見えるんですか?」
藤田深志は大きく息を吐いて、
「之恵、怒ってないの?」
「バカね、こういうこと、隠そうとする方が後ろめたいでしょう。正直に認めるなら、私が怒る理由なんてないわ」
藤田深志は額の汗を拭って、
「お前に会いたいよ」
突然の素直な甘え方に鈴木之恵は一瞬戸惑って、
「何を言ってるの、あなたはまだ試用期間の彼氏で、審査も通ってないわ。藤田社長はもっと頑張る必要があるわね」
藤田深志は不満げに、
「頑張るよ。三日後に東京都に飛ぶけど、何か持って来て欲しいものがあったら早めに教えて」