鈴木由典は電話を切って階下に降り、退院手続きも済ませた。病室に戻ると、鈴木之恵はすでに自分の服に着替え、身なりを整えていた。
退院については、彼女はとっくに待ちきれない様子だった。
昼間に弘美に約束したように、夜に帰って物語を聞かせてあげる。渋滞がなければ、今なら間に合うはずだ。
床には整然と箱が並べられており、それらは今日会社の社員たちがお見舞いに持ってきたものだった。
鈴木由典は片手に二箱ずつ持ち、残りの二つのフルーツバスケットと花束があった。鈴木之恵は花束をフルーツバスケットに入れ、鈴木由典の後ろについて出て行った。
エレベーターを降りて、一階のロビーへ。
通常、退院手続きはこんな時間にはしないものだが、鈴木由典は人を通したのだろう。おそらくこの時間は病院が比較的静かで、休むべき人は休んでいて、ロビーも普段より人が少なかった。