第403章 人柄が良く付き合える

鈴木之恵はため息をつき、

「大したことないわ、ちょっと貧血なだけ」

詳しく説明する必要のないことがたくさんある。医者は確かに気血を調整する薬を処方したので、鈴木之恵のこの言葉は嘘ではなく、あまり親しくない同僚との世間話程度だった。

山田結城はそれ以上追及せず、電話が鳴り、彼女は電話に出て数言葉を交わしてから慌てて切った。

「もう行かなきゃ。息子の薬を変える時間なの」

山田結城は荷物を持って足早に立ち去った。

鈴木之恵は彼女の後ろ姿を見つめ、かつての華やかなジュエリーデザイナーと今の山田結城を結びつけるのは難しかった。

鈴木之恵は外を一周してから病室に戻ったが、やはり退屈だった。特に病院には彼女のスケッチブックもなく、暇つぶしに何か描きたくても道具がなかった。

木村悦子から電話がかかってきて追及してきた。誰が本当の上司なのかわからないほどだった。

「芽さん、どうして来たばかりなのにまた休むんですか？」

鈴木之恵も申し訳なく思った。木村悦子がどれほど彼女の復帰を待ち望んでいたかを知っていた。

「長い話になるけど、今病院にいるの。明日は会社に行くわ。これからは休まないようにする」

木村悦子は病院という言葉を聞いて慌てた。

「芽さん、どこか具合が悪いんですか？どうして病院に？」

「大丈夫よ、心配しないで。今夜には退院できるから」

「仕事が終わったら見舞いに行きます」

鈴木之恵は適当な言葉だと思っていたが、夜になると木村悦子は大勢の人を連れて病院に来て、病室は人でいっぱいになりそうだった。

鈴木之恵は床に積まれた花束や果物籠、栄養剤を見て心苦しく感じた。

もし本当に体調を崩して入院していたなら、これらの可愛い同僚たちが見舞いに来てくれるのも当然だが、実際には何も問題がなく、鈴木由典が止めなければとっくに退院して会社に行っているところだった。

「皆さんにお金を使わせてしまって、本当に大丈夫なのに」

みんなが口々に慰めの言葉を掛けた。

「芽さん、お体を大切にしてください。会社はあなたなしでは回りませんから」

「そうそう、芽さん、早くブランドを立ち上げましょう。私の兄と義姉が来年結婚するんですが、私がデザインしたジュエリーを買いたいって言ってるんです。私たちは必ずダークホースになりますよ」