第409章 男は空港まで迎えに行く必要なし

思考が現実に戻り、鈴木之恵は夢が叶ったような感覚を覚えた。

彼を地に足のついた社長に育て上げれば、会社の女の子たちも彼に投票してくれるようになり、もう冷たくて近寄りがたいとは思わなくなるだろうと考えた。

秋が近づく天気は、もはやあの蒸し暑さはなかった。

夜には涼しい風が吹き、鈴木之恵のスカートの裾が風に揺られて彼の足に当たり、サラサラと音を立てていた。

藤田深志は彼女に導かれるままに、賑やかな商店街へと足を踏み入れた。

ここは東京都の屋台通りだが、中には様々な種類の食べ物があり、全国各地の屋台料理が揃っていた。

鈴木之恵は一目で光る手羽先おにぎりの看板を見つけ、その文字を見ただけで既に手羽先の香りが漂ってくるような気がした。

「おじさん、手羽先おにぎり二つください。」