今日のカーマグループは非常に賑やかで、誰も仕事に集中できず、会社全体が受賞の喜びに包まれていた。
受賞者リストが発表されると、皆は初めて自分たちの上司である鈴木芽にもう一つの名前、鈴木之恵があることを知った。
すぐに何年も前のニュースが見つかり、鈴木之恵とローリーが結びつけられ、全員が驚愕した。彼女たちが人生の目標として憧れていた業界の女神が、まさに目の前にいたのだ。
今では皆が上司に聞こえても気にせず、次々と話題に上がった。
「夢じゃないよね?芽さんが鈴木之恵で、鈴木之恵がローリーだなんて。芽さん、すごく隠してたんだ。まさか!」
「私は毎日スケッチブックを広げて、描き始める前に必ずローリー様に祈りを捧げてたのに。今になって私の女神が身近にいたなんて。今の気持ち、分かる?誰か私をつねって!」
「お互いにつねり合えばいいわ。私はSNSに投稿するわ。芽さんが軽々とこの賞を獲得したって。業界の人たちを羨ましがらせて、みんなにカーマグループを羨ましがらせたいわ。」
……
会社全体が祝賀ムードに包まれ、誰もが興奮していた。
正直なところ、鈴木之恵がチームの経営戦略を変更し、オートクチュールをやめてブランド展開に切り替えると発表した時、皆は彼女について行く覚悟はあったものの、内心では自信がなかった。
ブランドづくりはそう簡単なものではない。もしデザイナーが数人集まって作品を出して宣伝すればブランドになるなら、世界中がブランドだらけになってしまう。
このようなゼロからのスタートアップは、多くの場合、成果を出す前に消えてしまう。
しかし今は違う。カーマグループの鈴木芽が、数年前にデザイン界から姿を消したローリーだと分かり、これは間違いなく彼女たちに自信と勇気を与えた。控えめな鈴木芽に疑問を持つことはあっても、デザイン界の輝く星ローリーを疑うことはできない。
多くの人々がローリーのデザイン界からの退場を惜しみ、明珠の陥落のように感じていた。そして今、彼女が再び表舞台に戻り、業界人に驚きを与えた。
この受賞により、露出度の心配はない。慣例では受賞者は一連のインタビューに応じることになるだろう。
一方、鈴木之恵は動揺も喜びも見せず、オフィスチェアに座ってお茶を飲んでいた。
木村悦子が書類を抱えて入ってきた。