鈴木之恵は藤田深志の側で過ごした年月で、彼の会社経営の手腕を間近で見てきたため、この広告費は節約できないと分かっていた。
陸田直木は眉を少し上げ、自社の配下にいる人気スターたちのことを頭の中で整理した。最近、大ブレイクしている者が確かにいて、ファン数も多く、しかもそのほとんどが女性ファンだった。
ジュエリーの代理人としては、確かに適していた。
「田中晃はどう思う?」
鈴木之恵にとってその名前は馴染みがあった。ボーイズグループ出身で、端正なルックスを武器に芸能界に進出し、続けて二本のドラマで主演を務め、間違いなく新世代の人気俳優だった。
会社にも彼のファンが多く、木村悦子もその一人だった。スマートフォンの待ち受けも田中晃で、デスクにも彼のステッカーを貼っていた。
鈴木之恵は数秒考えた。田中晃の影響力は確かに大きいが、男性だった。
カルマジュエリーの主なターゲットは女性で、将来的にペアリングで男性用を出す程度で、鈴木之恵はまだ男性向けデザインの販売は考えていなかった。
なぜなら本当に売れないからだ。男性はこういったものにそれほど興味がなく、むしろタバコ一箱の方が魅力的だろう。
「男性に女性向け商品の代理をさせて、大丈夫なの?」
鈴木之恵はその辺りの事情が分からず、謙虚に教えを請うた。
話している間に、ウェイターが料理を運び始めた。
藤田深志は水を注ぎ、何気なく飲んでいた。
「気に入らないなら、他のスターを紹介することもできる。全国にはたくさんの芸能プロダクションがある。田中沙也加はどうだ?」
彼は人気女優の名前を鈴木之恵に提案した。心の中では、彼女と陸田直木との協力を望まなかった。あのデブに自分の恋人に近づく機会を与えたくなかった。自分が度量の狭い人間だということは認めていた。
陸田直木も威張らず、メディア関連のことなら、藤田深志は彼の前では素人同然だった。
彼はスマートフォンでWeiboを開き、田中晃のページを鈴木之恵に見せた。
「彼のフォロワー数を見てください」
鈴木之恵は芸能界に関心がなく、エンターテインメントニュースもあまり見なかったが、アイコンの横に表示された数字を見て本当に驚いた。
「そんなにいるの?」
陸田直木は頷いた。