第424章 自制して、ここは会社だから

藤田深志はまだ主権を主張することを諦めず、目の前のグラスを取ってお酒を注ぎました。

「うちの之恵のために芸能人を紹介してくれてありがとう。同級生としてここまでするのは簡単なことじゃない、まして小学校の同級生なら尚更だ。金持ちになった人の多くは同級生の名前すら覚えていないのに、君は同級生の妻の宣伝を手伝ってくれる。この恩は忘れない。今後何か手助けが必要なら、必ず協力させてもらう」

藤田深志のこの長々しい公式な発言に、鈴木之恵は隣で呆然としていました。

陸田直木は慣れた様子で、彼にとってはこの腹黒い男と初対面というわけではありませんでした。

「藤田社長、お言葉が過ぎます。はっきり言っておきますが、私は同級生という面子で動いているわけではありません。本当に友人を助けたいと思っているんです。数年前、私が東京都に来たばかりの頃、之恵さんにも随分助けてもらいました。私たちはビジネスパートナーですから、お互いに助け合うのは当然のことです。プレッシャーを感じる必要はありません」