第440章 私はそんなに怖いのか

鈴木之恵は弁当箱を開けて箸で料理を口に運んだ。疲れと空腹で今まで我慢していたが、やっと食事にありつけた。

藤田深志は受話器越しに彼女が何を食べているのか想像していた。

「之恵、夜は私のところで食べない?」

鈴木之恵は箸を止め、頭の中で警報が鳴り響いた。

「ご飯を食べるだけなら、なぜあなたのオフィスで食べなきゃいけないの!」

この前の一度で十分だった。少なくとも当分の間は彼のオフィスには一歩も踏み入れる勇気がない。

藤田深志は思わず笑い声を漏らした。

「何を怖がっているんだ。今日は何もしないよ、仕事の話をしたいだけだ。どうしても来たくないなら、おじいさんのところで料理を少し拝借して、家で作りながら話そう。冷蔵庫のドリアンまだ食べ切ってないだろう。」

鈴木之恵は今や彼の言葉一つ一つに敏感になっていて、うっかり彼の仕掛けた罠に再び落ちないように気をつけていた。「作りながら話そう」という言葉を聞いて、思わず緊張した。