鈴木之恵は小さく息を吸い、肺に酸素を満たし、長く吐き出した。まるでそうしなければ窒息してしまいそうだった。
しばらくして、彼女は彼の胸に寄り添いながら、小声で囁いた。
「午後に弘美と話したの。今は寝ているはずだから、私を待っていないと思う」
鈴木之恵は彼の質問に直接答えなかったが、藤田深志はその意味を即座に理解した。
彼女が拒否しないということは、受け入れるという意味だった。
藤田深志は彼女の顔を両手で包み、親指で目尻を優しく撫でた。単純な動作だが、このような雰囲気の中では妖しく感じられた。
彼は彼女の唇を吸うように口づけた。ゼリーのような質感で、ふっくらと弾力があり、どれだけ味わっても足りなかった。
どれくらいキスしたのかわからないが、鈴木之恵にはまだ少しの理性が残っていた。心の中では、ここはオフィスだと警告していた。頭の中では、冷静な自分と情欲に溺れた自分が激しく引き合っていた。