第460章 あの女がまた来た

鈴木之恵が話す前に、小川淳が話題を引き継いで、

「之恵ちゃんが久しぶりに会社に来たんだから、みんなで一緒に食事でもして親睦を深めない?」

藤田深志は眉を上げて尋ねた、

「食事で親睦を深める?」

彼は長年会社を経営してきて、部下の扱いに長けていた。従業員の目には、給与が一番大事なものだ。仕事をしっかりこなして、みんなボーナスを手にすれば、それが何より良い。

結局誰もその一食に困っているわけではなく、むしろ上司と一緒に食事すると気が張って、くつろげないものだ。

「ただ親睦を深めるだけじゃないんです。仕事の話は食事の席の方が話しやすいこともありますし、新しい取引先もできたことだし、会社の運営には様々な関係維持が必要ですから」

小川淳のこの言葉に、藤田深志は同意し、之恵に向かって言い直した、