鈴木之恵が話す前に、小川淳が話題を引き継いで、
「之恵ちゃんが久しぶりに会社に来たんだから、みんなで一緒に食事でもして親睦を深めない?」
藤田深志は眉を上げて尋ねた、
「食事で親睦を深める?」
彼は長年会社を経営してきて、部下の扱いに長けていた。従業員の目には、給与が一番大事なものだ。仕事をしっかりこなして、みんなボーナスを手にすれば、それが何より良い。
結局誰もその一食に困っているわけではなく、むしろ上司と一緒に食事すると気が張って、くつろげないものだ。
「ただ親睦を深めるだけじゃないんです。仕事の話は食事の席の方が話しやすいこともありますし、新しい取引先もできたことだし、会社の運営には様々な関係維持が必要ですから」
小川淳のこの言葉に、藤田深志は同意し、之恵に向かって言い直した、