車に戻ると、鈴木之恵は少し放心状態だった。
藤田深志は彼女の携帯から車のキーを受け取って自分で運転すると言い、鈴木之恵は一瞬戸惑って尋ねた。
「大丈夫なの?」
「ちょっとした怪我だよ。今のあなたの状態で運転する方が危険だ」
鈴木之恵は助手席に座り、しばらくして口を開いた。
「彼女の子供がいなくなったって言ってたけど、次は刑務所に入るってこと?」
藤田深志は運転に集中しながら答えた。
「そうだろうね」
「藤田深志、仁愛病院に親しい知り合いはいる?」
「いるけど、どうして?」
「先に車を止めて」
藤田深志は彼女が何をしようとしているのか分からなかったが、まず路肩に車を停めた。
「私はこの病院で生まれたの。私のお母さんのお産を取り上げた医師は、今もいるのかしら?」
藤田深志は彼女の考えを理解し、