第463章 子を頼りに出世する

村上お爺様はいつも笑顔で、

「藤田くん、また来てくれたのかい。私は元気だよ。若い者は自分の仕事に専念しなさい。わざわざ見舞いに来なくていいから、奥さんと過ごす時間を大切にしなさい」

藤田深志は挨拶をして、

「お見舞いの時間くらいはありますよ。これから東京都に戻りますが、祖父の代わりにもお見舞いに来ました。早く良くなることを願っています」

「君は本当に礼儀正しいね。私からも君のお祖父さんによろしく伝えてくれ」

そう話している時、村上拓哉が外から入ってきた。手には真っ赤な口紅をした魅力的な女性を連れていた。

藤田深志はようやく村上お爺様の上機嫌の理由が分かった。

「お父さん、まず食事にしましょう」

村上拓哉とその女性は、それぞれ手に数箱の食べ物を持って、小さなテーブルを広げて病床に設置し、レストランからテイクアウトした料理を一つずつテーブルに並べた。

「お父さん、これは私たちのレストランであなたの好みに合わせて作ったものです。安心して食べてください」

村上お爺様は今日、めまいも目のかすみもなくなり、この部屋を出たら一気に8つの契約書にサインできそうな気分だった。

「いいね、いいね、食事だ!息子が今日何を持ってきてくれたか見てみよう」

鈴木之恵と藤田深志は病室でしばらく過ごした後、時間が遅くなってきたので、村上お爺様に別れを告げて出た。数歩歩いたところで、村上拓哉が見送りに追いかけてきた。

二人がスーツケースを引いているのを見て、彼は尋ねた。

「二人とも、このまま空港に向かうの?」

鈴木之恵は頭を縦に振ったが、ある質問について躊躇していた。藤田深志が彼女の代わりに尋ねた。

「その女性はどこで見つけたんだ?」

村上拓哉は警戒して振り返り、病室のドアが閉まっているか確認した。彼は二人を促して前に進み、少し距離を置いてから口を開いた。

「ナイトクラブでレンタルしてきたんだ。仕方がないだろう。手術が終わってから本当のことを話すつもりだ」

「八木先生に相談したのか?」

村上拓哉は頷いて、

「昨日レントゲンを見せたら、ここの医師と同じ意見だった。早急に手術が必要だって。彼の方で手配を進めていて、症状が安定したら転院する予定だ」

村上拓哉は言い終わってため息をつき、