第472章 彼の財力を愛する

二人の子供が寝入ってから、鈴木之恵は携帯を開いてスクロールし、未読メッセージを確認すると、藤田深志からのものだった。

LINEを開くと、最初に目に入ったのは一枚の写真だった。

藤田深志はお気に入りのオーダーメイドブランドのスーツを着ていた。ただし、服は新品に見え、シルバーグレーが彼の身に纏うと柔らかな印象を与えた。今まで彼がこの色を着ているのを見たことがなかった。

その下には彼からのメッセージが続いていた。

【明るい色のスーツだよ。君の好みの色だけど、明日の入学式にこれで行くのはどう?】

鈴木之恵は前回、彼にもっと明るい色の服を試してみるように言ったことを思い出した。そうすれば人当たりが良く見えて、あまり冷たい印象を与えないと。

彼は彼女の言葉をしっかりと聞き入れていたのだ。

鈴木之恵は弘美の言葉を彼に伝えるためにメッセージを打った。

【いいですよ。藤田社長とてもかっこいいです。明日は間違いなく一番かっこいいパパになりますよ。】

メッセージを送信した直後、藤田深志からビデオ通話がかかってきた。鈴木之恵は慌てて音を消し、子供たちを起こさないように気をつけながら、携帯を手で覆い、つま先立ちで部屋を出て、自分の部屋に着いてから通話を受けた。

「さっきは弘美の部屋にいたの」

彼女は説明した。

藤田深志はまだそのスーツを着たままだった。

「之恵、本当に似合ってる?」

彼はめったにこんな明るい服装をしないので、自分で見ても違和感があった。ただ、前回彼女に明るい色の服を試してみるように言われた後、デザイナーに明るい色のスーツを数着注文し、ちょうど最近届いたところだった。

鈴木之恵は彼への褒め言葉を惜しまなかった。

「藤田社長、とてもかっこいいです!」

藤田深志は人差し指で眉間を掻きながら、家に帰ってから鏡を見続けていたことを思い出した。田中晃の洗脳が成功したことを認めざるを得なかった。今や彼は深い疑念に陥っていた。自分は本当に年を取ったのか、しかもはっきりと分かるほどに?

目尻に細かいシワが増えているのに気づいた。よく見れば確かに分かる。

「之恵、私が年を取ったように見える?」

鈴木之恵は彼の質問がおかしくて仕方がなかった。傲慢な藤田深志にも自信を失う日が来るとは。彼は年齢に対する不安を抱えているようだった。