二人の子供が寝入ってから、鈴木之恵は携帯を開いてスクロールし、未読メッセージを確認すると、藤田深志からのものだった。
LINEを開くと、最初に目に入ったのは一枚の写真だった。
藤田深志はお気に入りのオーダーメイドブランドのスーツを着ていた。ただし、服は新品に見え、シルバーグレーが彼の身に纏うと柔らかな印象を与えた。今まで彼がこの色を着ているのを見たことがなかった。
その下には彼からのメッセージが続いていた。
【明るい色のスーツだよ。君の好みの色だけど、明日の入学式にこれで行くのはどう?】
鈴木之恵は前回、彼にもっと明るい色の服を試してみるように言ったことを思い出した。そうすれば人当たりが良く見えて、あまり冷たい印象を与えないと。
彼は彼女の言葉をしっかりと聞き入れていたのだ。