第473章 とんでもない話

校長が一段落話し終えると、宣言しました。

「次は保護者代表として、藤田さんにご挨拶をお願いします。」

校長の視線が群衆の中を探し、皆もその視線を追って、藤田深志に辿り着きました。

鈴木之恵はその時になってようやく、校長が言及した保護者代表の藤田さんが藤田深志だと気づきました。

藤田深志は鈴木之恵と目を合わせましたが、説明する時間もなく、大股で壇上に向かいました。

全ての保護者の視線が彼を追い、藤田深志の磁性のある心地よい声がマイクから流れ出しました。

「学校関係者の皆様、先生方、保護者の皆様、お子様方、こんにちは。私は鈴木弘文と鈴木弘美の父親です……」

彼が保護者代表に選ばれたことは鈴木之恵に事前に話していませんでした。鈴木弘文と鈴木弘美も知りませんでした。この瞬間、鈴木之恵は二人の子供の手を握りながら壇下に立ち、彼のスピーチを聞きながら、疑問でいっぱいでした。

彼はいつ保護者代表になったのでしょうか?

最も喜んでいたのは鈴木弘文と鈴木弘美でした。前回、翼ちゃんのお父さんが壇上でスピーチをした時、みんなが彼のお父さんがかっこいいと言っていました。その時、彼らはまだお父さんと一緒に暮らしておらず、お父さんがいることさえ知りませんでした。どれほど羨ましく思っていたことでしょう。

この瞬間、壇上に立っている凛々しい人物が、まさに彼らのお父さんでした。

鈴木弘文は「ママ、パパはいつ保護者代表になったの?」と尋ねました。

「ママも知らないわ。パパが戻ってきたら聞いてみましょう。」

鈴木弘美は「ママ、今日のパパすごくかっこいい。パパは一番かっこいいパパだよ。」と言いました。

鈴木之恵は二人の子供に静かにするよう合図をしました。藤田深志がスピーチを終え、拍手の中で壇を降りました。

校長がマイクを受け取り、

「藤田さんには本校に教室棟一棟をご寄付いただき、誠にありがとうございます。私たちは教育事業に身を捧げ、全ての保護者の皆様に安心していただけるよう、子供たちのためだけに尽力して参ります。」

校長の言葉が終わると、運動場に大きな拍手が響き渡りました。

鈴木弘文と鈴木弘美は今回大いに注目を集めました。全ての保護者と子供たちが、彼らのお父さんが学校に校舎を寄付したことを知りました。それだけでなく、その容姿も神々しいほどでした。