「探してあげるわ」
藤田深志は長い脚を踏み出し、ドアの前で足を止めた。
鈴木之恵は彼の足音が止まり、ドアを開ける気配がないのを聞いて尋ねた。
「どうしたの?」
藤田深志は主寝室の半開きのドアを見ながら、昨日ドアを閉め忘れたかと思い出していた。確かに閉めたはずだ。
おそらく焦っていて記憶違いをしたのだろう。
「何でもない」
彼はそう答え、ドアを開けて出て行き、すぐに携帯を持って戻ってきた。鈴木之恵は彼が出ている間に急いで下着を身につけた。
彼が部屋に入った時、彼女は両手を後ろに回してホックを留めようとしていた。純白のレースのブラジャーに包まれた肌には、彼が噛んだ跡が残っていた。
藤田深志は一瞬目を凝らし、ベッドサイドに歩み寄って、彼女の後ろのホックを留めてあげた。
鈴木之恵は手が空いたので携帯を取り、見てぎょっとした。30件以上の不在着信があり、すべて鈴木由典からのものだった。