第480章 昨日ドアを閉め忘れた

「探してあげるわ」

藤田深志は長い脚を踏み出し、ドアの前で足を止めた。

鈴木之恵は彼の足音が止まり、ドアを開ける気配がないのを聞いて尋ねた。

「どうしたの?」

藤田深志は主寝室の半開きのドアを見ながら、昨日ドアを閉め忘れたかと思い出していた。確かに閉めたはずだ。

おそらく焦っていて記憶違いをしたのだろう。

「何でもない」

彼はそう答え、ドアを開けて出て行き、すぐに携帯を持って戻ってきた。鈴木之恵は彼が出ている間に急いで下着を身につけた。

彼が部屋に入った時、彼女は両手を後ろに回してホックを留めようとしていた。純白のレースのブラジャーに包まれた肌には、彼が噛んだ跡が残っていた。

藤田深志は一瞬目を凝らし、ベッドサイドに歩み寄って、彼女の後ろのホックを留めてあげた。

鈴木之恵は手が空いたので携帯を取り、見てぎょっとした。30件以上の不在着信があり、すべて鈴木由典からのものだった。