第517章 彼のプレゼント

鈴木之恵と鈴木由典は傍らに立って、その箱の中に何が入っているのかを見守っていた。

箱が開くにつれて、中の神秘が一層ずつ明らかになっていった。

いくつかの美しい小瓶が明かりの下に現れ、それらには可愛いリボンが結ばれており、小瓶の下には一枚の紙が挟まれていた。

老婦人はその紙を取り出して開き、そこに書かれた文字を見た瞬間、涙があふれた。

「之恵、これはお前のお母さんが書いた香水の調合法よ。これはどこで見つけたの?彼女の筆跡だわ、間違いないわ……」

鈴木之恵はその黄ばんだ紙を手に取って注意深く見た。確かに彼女の母親、鈴木美波の筆跡で、そこには香水の作り方が詳しく書かれていた。

そして箱の中の三つの香水瓶は古びておらず、新しく作られたもののようだった。

おそらく藤田深志がこの調合法を使って香水を作り、老婦人の誕生日プレゼントにしたのだろう。