鈴木之恵と鈴木由典は傍らに立って、その箱の中に何が入っているのかを見守っていた。
箱が開くにつれて、中の神秘が一層ずつ明らかになっていった。
いくつかの美しい小瓶が明かりの下に現れ、それらには可愛いリボンが結ばれており、小瓶の下には一枚の紙が挟まれていた。
老婦人はその紙を取り出して開き、そこに書かれた文字を見た瞬間、涙があふれた。
「之恵、これはお前のお母さんが書いた香水の調合法よ。これはどこで見つけたの?彼女の筆跡だわ、間違いないわ……」
鈴木之恵はその黄ばんだ紙を手に取って注意深く見た。確かに彼女の母親、鈴木美波の筆跡で、そこには香水の作り方が詳しく書かれていた。
そして箱の中の三つの香水瓶は古びておらず、新しく作られたもののようだった。
おそらく藤田深志がこの調合法を使って香水を作り、老婦人の誕生日プレゼントにしたのだろう。
他人の功績を借りたものだとしても、老婦人は非常に感動していた。
彼女はこの年齢になると、どんな珍しい宝物にも興味はなく、娘を思う気持ちこそが彼女にとって捨てられないものだった。
さすがに藤田深志は老婦人の心をよく理解していた。このプレゼントは老婦人の心に深く届いていた。
老婦人は鈴木由典に尋ねた。
「藤田家のあの子はいつ戻ってくるの?家に来るように言って、これをどこで見つけたのかしっかり聞きたいわ」
鈴木由典は視線をそらして言った。
「おばあちゃん、今回妹を連れ戻せたのは藤田深志のおかげです。彼がいなければ、私一人ではこのことを成し遂げられなかったでしょう」
老婦人はギフトボックスを見つめながら考え込むように言った。
「私は恩を忘れる人間じゃないよ。今回の旅で大変だったでしょう?」
鈴木由典は気軽な様子を装って言った。
「そんなに大変ではありませんでした。藤田深志が先に行って準備をしてくれていたので、重要な役割を果たしてくれました。今あの麻薬王はヨーロッパの警察に一網打尽にされて、もう二度と出てこられないでしょう。私たちは安心して生活できます」
老婦人はうなずいた。
「藤田家の子にはしっかりお礼をしないとね。以前は私が偏見を持って見ていたのかもしれない。適当な時に彼を家に招いて食事でもしましょう」
鈴木由典は眉を上げた。