鈴木由典はドアをノックして入ってきた。
「おばあちゃん、もうこんな時間ですよ。まだ寝ないと、また不眠になりますよ」
老婦人は彼を一瞥して言った。
「今寝たところで眠れると思うのかい?」
眠れないくらいなら、ここで子供を見守っていた方が心が落ち着く。
年を取ると、まるで子供のように、駄々をこねると手がつけられなくなる。鈴木由典は困った表情で言った。
「おばあちゃん、早く寝てください。明日、一緒にバリーを病院に連れて行かなければならないんです。それとも明日は行かずに、家で寝ていますか?」
老婦人はしばらく考えてから、不機嫌そうに言った。
「わかったわ、寝るわよ」
この小僧はいつも彼女をうまくあしらう方法を知っている。そして彼女はそれに抗えない。
老婦人が去ると、部屋には兄妹だけが残った。