第518章 藤田深志は帰ってきたのか

鈴木由典はドアをノックして入ってきた。

「おばあちゃん、もうこんな時間ですよ。まだ寝ないと、また不眠になりますよ」

老婦人は彼を一瞥して言った。

「今寝たところで眠れると思うのかい?」

眠れないくらいなら、ここで子供を見守っていた方が心が落ち着く。

年を取ると、まるで子供のように、駄々をこねると手がつけられなくなる。鈴木由典は困った表情で言った。

「おばあちゃん、早く寝てください。明日、一緒にバリーを病院に連れて行かなければならないんです。それとも明日は行かずに、家で寝ていますか?」

老婦人はしばらく考えてから、不機嫌そうに言った。

「わかったわ、寝るわよ」

この小僧はいつも彼女をうまくあしらう方法を知っている。そして彼女はそれに抗えない。

老婦人が去ると、部屋には兄妹だけが残った。