第522章 行ってください、お願いします

藤田深志はバッグからティッシュを取り出して陶山蓮華の顔を拭いてあげた。

「お母さん、悲しまないで。私とお兄ちゃんがあなたの一番近い人よ。誰があなたを愛するなら、あなたもその人を愛せばいい。これからは少し自分勝手になりましょう」

陶山蓮華は頷いた。

「わかったわ。これからはママは自分のために生きるわ。誰のことも気にしない。あなたたち兄妹ももう大きくなったから、あなたたちのことにも口出ししないわ」

藤田深志は実母の言葉を聞いて安心した。彼女が言ったとおりにしてくれることを願っている。

「晴香は最近会社での仕事に慣れてきた?」

藤田晴香は答えた。

「ま、まあまあかな。わからないところは叔父さんに電話して聞いたり、叔父さんのアシスタントも手伝ってくれるから、思ったほど難しくないわ」