この告別式は2時間以上続いた後、ようやく終わり、次は老人を墓地へ送り、奥さんと一緒に埋葬することになった。
老人は前もって言っていた。彼がいつも持ち歩いていた奥さんの遺品を、旅立つ時に一緒に持っていきたいと。
藤田深志は老人の部屋に取りに行き、祖父の最も大切なものを持って階段口まで来たとき、少しめまいがした。数秒後に回復し、顔を上げると鈴木之恵の視線と合った。
彼の膝はまだ完全に治っておらず、歩くのがとても不便だった。
鈴木之恵は急いで数歩駆け上がり、彼を支えた。
「足が痛いなら他の人に取ってもらえばよかったのに、どうして自分で上がってきたの?」
藤田深志は片手で鈴木之恵につかまり、苦労しながら階段を下りた。
「祖父の身の回りのものは、誰に頼んでも安心できなくて。之恵、大丈夫だから、心配しないで。」