第539章 奇妙なアレルギー源

バリーは眉を伏せ、絶望の表情を浮かべていた。

「お兄さんに探すのをやめるように伝えて。残りの日々を穏やかに過ごしたいの」

鈴木之恵は焦った。

「探さないなんてダメよ、私たちはどんな希望も見逃すわけにはいかないわ。私たち家族も、藤田晋司も、みんなあなたのためにドナーを探してるのよ。あなたはこんな風に諦めちゃダメよ!」

藤田晋司という三つの言葉を聞いた時、バリーの呼吸が一瞬止まった。この数日間、彼がドアの外で待っていることを彼女は知っていた。彼女は人に会うことを拒否し、彼は彼女の視界に入らないようにしていた。

彼女には感じることができた。彼がすぐ近くで見守っていて、彼女が声を上げれば聞こえる距離にいることを。

彼はずっとその場所で彼女が振り向くのを待っていた。

でも時間は戻らない。

彼女と藤田晋司の関係は、以前は身分不相応だったが、今はなおさら釣り合わない。

彼女は泥の中で腐りかけている、まさに枯れようとしている花に過ぎない。こんな時に、どうして彼に関わることができようか。

「彼を説得して、行かせて。無意味なことをするのはもうやめさせて」

鈴木之恵は口の中が苦く感じた。姉妹二人の運命がなぜこれほど多難なのか、あれほど多くの災難が彼女たちに降りかかったのか。

神様はバリーのためにドアを閉ざし、そして今、みんなが彼女のために窓を見つけることができないでいる。

「お姉ちゃん、意味があるかどうかは、その人がその感情をどう捉えるかによるわ。あなたはどうして藤田晋司がしていることが彼にとって無意味だと判断できるの?

あなたが彼の代わりに決めるのは、彼にとって不公平よ」

バリーは布団の中で横になり、胸元の藤田晋司からもらったペンダントを手のひらでしっかりと握りしめていた。それは彼女が何年も肌身離さず身につけていたもので、信仰のような存在だった。

ネックレスがあれば、なんとなく安心できる。

そして今、ネックレスをくれた人がドアの外にいるのに、彼女の心はどうしても落ち着かなかった。

彼女は自分のやつれた体を見つめ、最後に鏡を見たのがいつだったか思い出せなかった。鈴木之恵の自分と瓜二つの美しい顔を見て、彼女は心の中で羨ましく思った。

誰もが持っている健康が、彼女の人生では贅沢な願いとなっていた。

彼女は今の自分の姿がきっと醜いだろうと思った。