第556章 良い後ろ盾を見つけた

田中晃のあの不思議な傲慢さは消え、振り返って鈴木之恵が近づいてくるのを待っていた。

鈴木之恵は彼の心の中の小さな違和感を察し、心の中で密かに笑った。この大きな弟がまるで甘えん坊のお姫様のように、冷たくされると機嫌を取らなければならないなんて思いもしなかった。

「健康診断に付き添おうか?」

田中晃は一瞬驚いて答えた。

「いいよ、あなたは忙しいでしょう。」

鈴木之恵は唇を曲げ、親しみやすい笑顔で言った。

「藤田深志が戻ってきたから、今日は特に予定がないんだ。一緒に行こう。」

田中晃は眉間を掻きながら、

「わかった。」

検査項目はかなり多く、鈴木之恵は彼について一つの階から別の階へと移動し、様々な科を回った。ようやく最後の項目、そして田中晃が最も恐れていた採血の時間がきた。

彼は体格が大きいにもかかわらず、痛みに非常に敏感で、幼い頃から注射を怖がっていた。

子供の頃、風邪をひいたり病気になったりするたびに、彼にとっては災難だった。

当時彼はまだ小さく、怖いことがあると泣かずにはいられなかった。彼は大したことではないと思っていた。検査室で泣いているのは彼だけではなかったのだから。

他の親と比べて、田中清彦は子供をあやすのが得意ではなかった。

他の子供たちは父親と母親に抱かれながらあやされ、一人がスマホでアニメを見せ、もう一人が新しく買ったおもちゃを持って、恐怖をそらしていた。

田中清彦はそうではなかった。息子が泣くのを見ると、ただ一言、

「男は泣くものじゃない、恥ずかしくないのか?」

田中晃はそれ以来あまり泣かなくなったが、心の奥底の羨ましさは抑えられなかった。彼はあやしてもらえる子供たちを羨ましく思っていた。

田中晃はそこに座り、腕を伸ばすと、心臓がドキドキと激しく鳴り始めた。骨髄提供の時にはもっと長い針が刺さることを考えると、額から汗が滲み始めた。

鈴木之恵は傍らに立ち、彼の検査用紙の束を持ちながら、田中晃の臆病な様子を見て尋ねた。

「怖い?」

「ぜんぜん。」

田中晃は認めず、面目が立たないと感じた。

綿球が腕に触れる冷たい感触、田中晃の心臓は喉元まで上がってきた。採血担当の看護師がすでに器具を取り出し、田中晃はその針先を見つめていたが、次の瞬間、視界が一つの手で遮られた。

鈴木之恵の声が彼の頭上から聞こえてきた。