第26章 私を怖がらせた

「だって……」結城暁は無理な理由を探して言った。「美味しくないから」

「美味しくないの?私も味見してみよう」

南雲泉がスプーンですくおうとした瞬間、結城暁が身を乗り出し、彼女のスプーンを口に含んで、つばめの巣をすべて食べてしまった。

「わざとでしょう」南雲泉は口を尖らせて、怒って彼を見つめた。

さらに予想外だったのは、次の瞬間、結城暁が直接椀を手に取り、一気にすべてのつばめの巣を飲み干してしまったことだ。

南雲泉は空っぽのガラス椀を見つめ、目を何度もパチパチさせながら「お腹すいてたの?」と聞いた。

「いや」

「じゃあ、なんで私の食べ物を奪うの?」南雲泉は不思議そうに彼を見つめた。

しかも、確か彼はつばめの巣が好きじゃなかったはず。以前、彼女が家でつばめの巣を食べていた時、嫌そうな顔をしていたのに。