第62章 その男があなたの密かな恋人なの？

「言いたいことがあるなら言えばいい、誰が怖いものか？」

南雲泉はこの時、最後まで強気を貫いた。

「結城暁、なぜあなたは藤宮清華と会えて、私は他の人と会ってはいけないの？」

「結婚は二人で共に営み、共に努力するものでしょう。あなたは初恋の人に会いに行けて、私はあなたに忠実で一途でなければならず、少しの反抗も許されないというの？」

南雲泉の言葉が終わるや否や、顔を上げると、結城暁の顔色が土気色で、全身から凍りつくような威圧的な雰囲気を放っていた。

その眼差しは鋭く、氷のように冷たく彼女を見つめ、まるで彼女を見通すかのようだった。

これまでの付き合いで、彼がこんな様子を見せたことは一度もなかった。

正直に言えば、南雲泉は少し怖くなった。

今の自分の言葉は、虎の髭を引っ張るようなものだったと感じた。

空気は、まるで凍り付いたかのようだった。

南雲泉は一歩前に出て、ドアノブを掴んで出ようとした。

突然、結城暁が彼女の手に重ねてきた。彼の手のひらは灼熱のように熱かった。

口から出た言葉も熱を帯びていた。「出てはいけない」

「なぜ？結城暁、何の権利があって私の自由を制限するの？」

「私があなたの夫で、法律上の配偶者だからだ」

南雲泉は冷笑いを浮かべながら彼を見た。「あなたのどこが私の夫らしいの？」

結城暁も怒りで理性を失い、南雲泉を抱え上げてベッドに投げ込んだ。

ベッドは柔らかく、結城暁の力も強かったため、南雲泉は深く沈み込んでしまった。

彼女が起き上がろうとした次の瞬間、結城暁の長身が覆いかぶさり、彼の手が南雲泉の両手をしっかりと掴み、脚も南雲泉の脚を力強くベッドに押さえつけた。

「結城暁、何をするの？離して」南雲泉は怒りの目で彼を睨みつけた。

結城暁は一言も発せず、漆黒の瞳で彼女を見つめ、全身から冷たい雰囲気を放っていた。

南雲泉は認めざるを得なかった。少し怖くなっていた。

しかも彼に拘束されて、まったく動けなかった。

「結城暁、あなたって最低！私にだけこんなことするの？藤宮清華にはこんなことしないでしょう。最低！」

南雲泉は罵れば罵るほど悲しくなった。

これは何なの？私だけを苛めて。

「そうだ、泉、その通りだ。俺はお前だけを苛める」

言葉が落ちると同時に、結城暁の唇が激しく彼女を奪い、思うがままに攻め立てた。