男は聞いて数秒間呆然としていた。
そして、大声で笑い出した。「柏木邦彦、お前が?結城の社長がお前の娘婿だって?ハハハ、よく言えるな」
「アメリカ大統領がお前の娘婿だとでも言うのか?」男は柏木邦彦の頭を平手打ちした。
柏木邦彦は焦って、急いで南雲泉の方を見た。「泉、早く説明してくれ。彼らがお前をどこに連れて行こうとしているか知っているのか?」
「どこに?」
「奴らはお前をキャバクラに売り飛ばして、男の相手をさせようとしているんだ」柏木邦彦は歯を食いしばって言った。
南雲泉は急に顔を上げ、信じられない様子で男を見つめた。「それは違法です。私の自由を売り買いする権利はないし、強制もできません」
男は彼女を一瞥し、嘲笑を浮かべた。
その時、柏木邦彦は男の腕を掴み、同時に携帯を取り出して結城暁に電話をかけた。