「赤ちゃん、いい子にしていてね」
「赤ちゃん、安心して。ママは強いから、何も起こさせないわ」
南雲泉は両手で、ずっとお腹を守り続けていた。
その間、彼女は結城暁に電話をするべきか迷い続けていた。
かけるべき?
彼女は何度も自問自答した。
一瞬、実際に彼の電話番号を見つけて発信していた。
しかし相手が出そうになった時、すぐに切ってしまった。
病院に着くと、南雲泉はすぐに受付を済ませた。平日だったため、幸い混んでいなかった。
順番を待っている間、彼女はもう耐えられないほど具合が悪くなっていた。頭がぼんやりして、めまいがし、今にも気を失いそうな錯覚さえ感じていた。
待合室は人が多く、空気が淀んでいた。
南雲泉は立ち上がり、外に出ようとした。
ロビーに出たその時、救急患者が運ばれてきた。