瀬戸奏太は頷いた。「確かに目立ちすぎますね。だから先に署に戻って着替えてから、警察署の近くにあるカフェに行きましょう。そっちの方が都合がいいです」
「ああ、はい」
南雲泉はすぐに頭を下げて車に乗り込んだ。
到着すると、瀬戸奏太は柏木朋也に南雲泉の待機場所を手配させ、自分は着替えに行った。
その間、南雲泉は結城暁からの電話を受けた。
彼女は出たくなかった。
しかし、相手は何度も続けて電話をかけてきた。
結局、南雲泉は深いため息をつき、通話ボタンを押した。
だが、彼女は自分の限界を過大評価していた。
電話が繋がり、結城暁の声が聞こえた。「泉」
その名前を聞いただけで、彼女の胸は息苦しさと痛みを感じた。
「今日は大学にいるの?」結城暁は探るように尋ねた。
南雲泉は唇を押さえ、必死に感情を抑えていた。