第92章 瀬戸奏太が彼女を山から背負って降りる

「奏太、どうしてここに?」

ここで瀬戸奏太に会うとは、南雲泉は本当に驚いていた。

「今日は父の命日で、家族で墓参りに来たんだ。泉は?どうしてここに?」瀬戸奏太の声は特に低かった。

「ごめんなさい、辛い話を出してしまって。私も母に会いに来たの」

「一人で?」

瀬戸奏太は当然驚いた。

結局、南雲泉と結城暁が結婚したことを知っていたので、南雲泉の母は結城暁の義理の母でもある。

情理から言っても、妻を一人で義理の母の墓参りに行かせるべきではない。

南雲泉は頷いた。「うん、しばらく来てなかったから、母に会いたくなって」

その時、また轟く雷鳴。

そして、雨が降り始めた。

最初は小雨だったが、すぐに、2分もしないうちに大粒の雨となった。

土砂降りとなり、山全体がすぐに霞んで、霧に包まれた。