「奏太、どうしてここに?」
ここで瀬戸奏太に会うとは、南雲泉は本当に驚いていた。
「今日は父の命日で、家族で墓参りに来たんだ。泉は?どうしてここに?」瀬戸奏太の声は特に低かった。
「ごめんなさい、辛い話を出してしまって。私も母に会いに来たの」
「一人で?」
瀬戸奏太は当然驚いた。
結局、南雲泉と結城暁が結婚したことを知っていたので、南雲泉の母は結城暁の義理の母でもある。
情理から言っても、妻を一人で義理の母の墓参りに行かせるべきではない。
南雲泉は頷いた。「うん、しばらく来てなかったから、母に会いたくなって」
その時、また轟く雷鳴。
そして、雨が降り始めた。
最初は小雨だったが、すぐに、2分もしないうちに大粒の雨となった。
土砂降りとなり、山全体がすぐに霞んで、霧に包まれた。