彼女のバッグには小さなミネラルウォーターが2本入っていて、そのうちの1本は未開封で、もう1本は少しだけ飲んでいた。
ほんの少ししか飲んでいなかったので、大きな違いは感じられず、取り出すときも特に気にしていなかった。
まさかこんな小さな不注意が、本当に間違いを引き起こすとは。
南雲泉が空のペットボトルを見つめ、何か言いたげな様子を見て、瀬戸奏太は尋ねた。「どうしたの?」
「あの、私...」
言い出したら、あまりにも恥ずかしすぎる。
結局、南雲泉は話題を変えた。「なんでもないの、ただあなたの調子はどう?って聞きたかっただけ」
「僕は大丈夫だよ。これくらい何でもない。むしろ君の方は、大丈夫?」
瀬戸奏太はそう言って、南雲泉に視線を向けた。
しかし見るなり、すぐに目をそらした。
そして軽く咳払いをして、静かに注意を促した。